新しいクラスになってすぐ席替えをした。そしてラッキーなことに、私はべスポジの席に座れることになった。教室の中で一番のべスポジって、普通は一番後ろの窓側の席を指すのかもしれない。いわゆるクラスで一番イケてる、もしくはヤンキーが似合う席だ。だけど私の場合のべスポジはそこじゃない。同じ窓側でも、一番前の席を指す。一番前の席なんて、一番先生の目に付きやすいじゃないのと言われるかもしれないけれど、先生が教室の全体を見渡そうと思ったとき、実は教壇から一番死角になる部分が一番前の端っこなのだ。学級委員で何度も前に立って発言する機会があった私が言うのだから間違いない。

そう、私は普段は学級委員なんて真面目な役をやって先生からの信頼を得ているけれど、実は腹黒いヤツなのだ。しかも一番後ろの席は、ヤンキーたちが水面下交渉で手に入れていて固まっていることが多いので、先生たちの目がそちらに行きやすい。だから余計に私の席はノーマークである。真面目に先生の話を聞いているフリをして、教科書に隠した漫画を読んだりスマホのゲームをしたり、小腹が空けばこっそりチョコレートを食べたりと、それはもうパラダイスだ。それなら廊下側の一番前も同じじゃないかって？ところが廊下側だと寒くて足は冷えるし、ふいに他の先生が入ってきたときに慌てる羽目になるのだ。だから窓側の一番前がべスポジなのだ。

だけどここ最近天気のいい日が続いているからか、窓際の席は少々暑い。そしてカーテンも窓も全開にしているせいか、最近左半分だけ日焼けがひどいような気がする。と思っていたら、昨日うちの姉から、「あんた、顔が『使用前、使用後』みたい」と言われてしまった。鏡を見て衝撃を受けた。ちょうど顔の真ん中から左が黒くて使用前みたいになっていて、右が白くて使用後みたいになっているではないか。私にとってのべスポジ、夏の間だけに限って言えば、そうでもないようだ。